剛力ごうりき)” の例文
と、追いまくした十二人の裏切り武士ぶし、そのなかでも剛力ごうりきをほこる神保大吉じんぼうだいきちは、九しゃくの槍をしごいて、咲耶子のまえへけまわった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまひとり加藤主税ちからというは溝口みぞぐち派で、有名な道場荒し、江戸中に響いていた達者で剛力ごうりきです。
通常たゞじゃアかなわない、だますに手なしだ、あゝいう剛力ごうりきな奴は智慧の足りないもので、それに一体彼奴あいつ侠客気きょうかくぎが有ってのう、人を助けることが好きだ、手前何うかして田圃伝たんぼづたいに行って
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
窓はほんの光線取あかりとりにして、鉄の棒をめぐらし如何いかなる剛力ごうりきの者来ればとて、破牢はろうなど思いも寄らぬてい、いと堅牢なり。水を乞うて、手水ちょうずをつかえば、やがてさき窓より朝の物を差し入れられぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
およそ一週日ばかりは、殆んど昼夜忙殺の有様なりし、さていよいよ最後の荷物を負いたる十数名の剛力ごうりき、及び有志者と共に、強風をおかして登るや、その九時観測所に着し、まもなく夜半十二時
「近頃はあなたの剛力ごうりきが、大分だいぶ評判ひょうばんのようじゃありませんか。」
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こぼるるびんの黒き剛力ごうりき 芭蕉
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ひどい剛力ごうりきだった。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(九)弱い剛力ごうりき
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
そのおそろしい剛力ごうりきに、空井戸の車はわれて、すさまじく飛び、ふとい棕梠縄しゅろなわ大蛇おろちのごとくうねって血へどをいた影武者のからだにからみついた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神保大吉じんぼうだいきちは、あたりのほのぐらさに、それを独楽こまともなんともさとらずに、力まかせに手もとへひく! と一方の独楽のひもも、負けずおとらず剛力ごうりきをかけて引ッ張った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)