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其段
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そのだん
盜賊人殺しなりと
訴へけれども吉三郎事は
豫て其方
娘菊と
密通致し
居娘より
貰ひて
與兵衞に
賣たりと云故
其段明白に
吟味せん
爲娘を呼出したり
其方此事を
私事
空く相成候とも、決して
余の病にては
無之、
御前様御事を
思死に
死候ものと、
何卒々々
御愍み
被下、
其段はゆめゆめ
詐にては
無御座、みづから堅く信じ居候事に御座候。
沢は実は
其段心得て居た、為に
口籠つた。
掘出し
其段早速役所へ屆け出づべきに
然は
無して自分方に
隱置其方一
個の得分に致さんとの
心底侍にも似合ず
後闇き致し方にて重々不屆に
思召さる
依て相當の
御咎をも仰せ付らるべきを
殺せしは段右衞門
元の名は重四郎が
仕業に相違無や
愈々相違なきに於ては
其段を