まつたく)” の例文
まつたく摸写のものならん。名識印章並になし。竪幅じゆふく二掛一対墨画十六羅漢明兆画とありて印なし。飛動気韻ありて且古香可掬きくすべし。殿司の真迹疑べからず。駅長の家烏山侯霞崖の書せる安穏二字をばうす。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
追駈おつかけし節何か間違まちがひにて殺したに相違は有まじつゝまず申立よと問詰とひつめらるれども儀左衞門は白状はくじやうせず否々いや/\まつたく以て殺せし覺えは御座なく尤も白妙と申遊女は兩三度も呼て遊し事御座候へども私しは妻子さいしも有身に候へば人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
己れ此上にもいつはらんとならば水火の責にかけいはするどうじやとおほせに流石さすがの庄兵衞もおどろいろ蒼然あをざめ戰々わな/\ふるひ出だし一言の答へもなし大岡殿何じや己れつみふくせしやと云るゝ時庄兵衞はなほのがるゝだけのがれんと思ひ私しまつたく然樣さやうなる覺えは之なしと申により大岡殿かく兩人は罪にふくしたれ共此上にもあらそ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)