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元二
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げんじ
元二は、
絶えず、
其の
歌を、
肌に
添へて
持つて
居て、
人の
目につくやうに、つかないやうに、ちら/\と
出しては
始終熟と
視る。
生温い
茶をがぶ/″\と
遣つて、
爺がはさみ
出してくれる
焚落しで、
立て
續けに
煙草を
飮んで、
大に
人心地も
着いた
元二。
さて、
話の
中の
物語り、
煩はしいから
略く、……
祝の
夜、
仲間ども
一座の
酒宴、
成程元二の
仕組んだ
通り、いづれも
持寄りで、
國々の
話をはじめた。