倹約けんやく)” の例文
旧字:儉約
船の所蔵品をしらべると、ビスケット、ハム、ちょうづめ、コーンビーフ、魚のかんづめ、野菜やさい等、倹約けんやくすれば二ヵ月分はある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
倹約けんやくするためにわたしたちは荒物屋あらものやで買ったゆでたまごと、パンを食べた。でもマチアはうまいものはたいへんこのんでいた。
そのわずか五丁もの道の間には、火葬場かそうばや大根畑や、墓やすぎの森を突切つっきらない事には、大変なまわり道になるので、私達は引越しの代を倹約けんやくするためにも
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
何べんもいうようだけれど、爺さんは欲張りで、倹約けんやくだなんて大金持ちの癖に、いつでも薄汚い身装なりをしているもんだから、何とか議員だって警察には通じやしないわ。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
まって晩酌ばんしゃくを取るというのでもなく、もとより謹直きんちょく倹約けんやくの主人であり、自分も夫に酒を飲まれるようなことはきらいなのではあるが、それでも少し飲むとにぎやかに機嫌好くなって
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
博士の家のまかないをしていて、儲けたいと思っていましたが、博士は倹約けんやくですから、無駄なことをしません。私のところへ来て、博士も奥さんもケチで困ると言ったことがありました。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
宿屋へ茶代を五円やるのはいいが、あとで困りゃしないか、田舎へ行ってたよりになるはお金ばかりだから、なるべく倹約けんやくして、万一の時に差支さしつかえないようにしなくっちゃいけない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
貯金ちょきんだけをたのしみに、倹約けんやくにくらしているような人だから、人のいやがるこのふべんなみさきの村へきたのも、つきあいがなくてよいと、じぶんからの希望であったというかわだねだった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
故に上士の常に心を関するところは、尊卑そんぴ階級のことに在り。この一事においては、往々おうおう事情に適せずして有害ゆうがい無益むえきなるものあり。たとえば藩政の改革とて、藩士一般に倹約けんやくを命ずることあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「なあにこの書物ぁ倹約けんやく教えだのだべも。」
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
安場が日曜にきて、各シートを決めた、安場は東京からの汽車賃を倹約けんやくするためにいつも五里の道を歩いてくるのである。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
わたしがものを学びたいというのぞみは、はしなくお父さんに、自分もむかし本を買うために毎朝朝飯あさめしのお金を二スー倹約けんやくしたむかしを思い出させた。
六年生の秋の修学旅行は、時節じせつがらいつもの伊勢いせまいりをとりやめて、近くの金毘羅こんぴらということにきまった。それでも行けない生徒がだいぶいた。働きにくらべて倹約けんやく田舎いなかのことである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ゴルドンは火薬を倹約けんやくしてりょうはおもにおとし穴、かけなわ、あみなどを使用せしめたから、大きなえものはなかったが、小鳥や野うさぎの類を多くとることができた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
油を倹約けんやくするため、わたしたちはぜひ入り用なときだけ明かりをつけることにしていたのである。
「わたしンなあ先生、こないだ頼母子講たのもしこうをおとして、大きい船を買うたん。だから、倹約けんやくせんならんの。こんぴらまいりは、じぶんで金もうけするようになってから、いくことにきめた」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「だがわれわれの食料の倹約けんやくしなければならないのに、この鳥をかう食料はどうするつもりか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)