倒潰とうかい)” の例文
一方いつぽう屋外おくがい避難ひなんせんとする場合ばあひおいては、まだきらないうち家屋かおく倒潰とうかいし、しか入口いりぐちおほきな横木よこぎ壓伏あつぷくせられる危險きけんともなふことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
田畑の被害はもちろん、城下の家もかなり流されたり、倒潰とうかいしたりして五百何十人も死んだり、埋められたりし、千人を越す負傷者が出た。
契りきぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
家屋の倒潰とうかいは数知れないし、津波つなみもあり、火死、水死、圧死など、この時の死傷は三万七千余人といわれた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い権力が新しい軍閥の前で倒潰とうかいした。ソビエット・ロシアの東方政策は根柢から覆がえされた。
地図に出てくる男女 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
この家が倒潰とうかいしはしないかと云う危険はさっきから感じてい、屋台骨がぐらぐらする毎に、今度こそ今度こそと思って冷汗をかしていたところだったので、輝雄の言葉を聞くと一も二もなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一郎は、甲子を引擦ひきずるように抱きかかえて、崩れ落ちる鴨居の下をくぐって、よろめきながら出て来るところだった。二人が縁側から飛び下りたとたんに、物凄い音を立てて、家は柱を折って倒潰とうかいした。
九月一日 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
五、 屋外おくがいおいては屋根瓦やねがはらかべ墜落ついらいあるひ石垣いしがき煉瓦塀れんがべい煙突えんとつとう倒潰とうかいきたおそれある區域くいきからとほざかること。とく石燈籠いしどうろう近寄ちかよらざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかしながらいづれの場合ばあひでもさうであるとはかぎらぬ。屋外おくがいせまくて、もし家屋かおく倒潰とうかいしたならばかへつてそのために壓伏あつぷくされるような危險きけんはなきか。これが第一だいゝち考慮こうりよすべきてんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)