保田ほた)” の例文
「よろしい。それでは、こんどはきみだ。きみは千葉県の保田ほたの漁師だったね。ゆうべ、海の中で、なにをやったかいってごらん。」
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
わたくしにも房州ぼうしゅうは始めてでした。二人は何にも知らないで、船が一番先へ着いた所から上陸したのです。たしか保田ほたとかいいました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あなたと別れてから、保田ほたへ参りましてな、岡本兵部というものの家へ、取敢えず草鞋わらじをぬぎましたが、そこでまず二つの収穫を得ました」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
千葉、木更津きさらづ富津ふっつ上総かずさ安房あわへはいった保田ほた那古なご洲崎すさき。野島ヶ岬をグルリと廻り、最初に着くは江見えみの港。それから前原港を経、上総へはいって勝浦、御宿おんじゅく
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
安房安房郡保田ほた町大字大帷子
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
聞くところによると田山白雲は、保田ほたから上陸して房総をめぐり、主として太平洋の波を写生して帰るのだそうです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこに一月餘ひとつきあまりも滯在たいざいしてゐるうちに九ぐわつになりけたので、保田ほたからむかふへ突切つつきつて、上總かづさ海岸かいがん九十九里くじふくりづたひに、銚子てうしまでたが、そこからおもしたやう東京とうきやうかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この写生帳は、房州の保田ほたへ上陸以来、鋸山のこぎりやまに登り、九十九谷を廻り、小湊、清澄を経て外洋の鼻を廻り、洲崎すのさきに至るまでの収穫がことごとく収めてある。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこに一月余りも滞在しているうちに九月になり掛けたので、保田ほたから向うへ突切つっきって、上総かずさの海岸を九十九里伝いに、銚子ちょうしまで来たが、そこから思い出したように東京へ帰った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)