付根つけね)” の例文
行水ぎょうずいでもつかうように、もも付根つけねまであらったまつろうが、北向きたむきうらかいにそぼあめおときながら、徳太郎とくたろう対座たいざしていたのは、それからもないあとだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
網代あじろ笠の裏を覗き、笠の緒の付根つけねをパリッとむしり取った。その下に貼り込めて来た一通の書状が彼の膝へ落ちた。新六は、畳み目を伸ばして主人の手へ渡した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欧洲にても英国風は少しゆるやかなる方なれど、仏蘭西風はキチンと身体に合ふやうにしそで付根つけねなぞ狭くして苦しきほどなり。日本人には米国風の仕立方適するが如し。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
その六じょう行燈あんどんしたに、つくえうえからされたのであろう、こし付根つけねからしただけを、いくつともなくいた紙片しへんが、十まいちかくもちらばったのを、ときおりじろりじろりとにらみながら、薬罐やかん湯気ゆげ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)