交際づきあい)” の例文
重吉とは兄弟交際づきあいの友吉爺さんは自分の家でいっしょについた正月の五升の餅を届けに来て、実枝に向って、そう今昔の感をもらした。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
そこは軍人交際づきあいの概して何事も派手に押し出してする方なるが、こなたはどこまでも昔風むしろ田舎風いなかふうの、よくいえば昔忘れぬたしなみなれど
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
伸太郎 成程お前は一家の女主人としては実によく行届ゆきとどく。店の仕事から奉公人の指図、台所から掃除洗濯、近所交際づきあい、何一つとして手抜てぬかりはない。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
先方むこうから世の中の区画くぎりを打ち破って友達交際づきあいを申し出ているのだから、伝二郎が大得意なのも無理ではなかった。
「まア、そう素気すげないことを言うな。お前はひと交際づきあいがわるくて困る。いったい、この象がどうしたんだと」
若紳士がまだ挙ないことと思っておのれもまた下げて居るのを、奇観々々これをお辞誼じぎ交際づきあいなづけると、遠くで見ておかしがって居た藍縞あいじまの一重袴を穿いた男が
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
商売人くろうとあがりのその友達は、お銀がもと金助町にいたころ、親しく近所交際づきあいをしたことのある女であったが、このごろやり出したその良人はかなり派手な生活をしていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それに、投書家交際づきあいをすることが好きで、地方文壇の小さな雑誌の主筆とつねに手紙の往復をするので、地方文壇消息しょうそくには、武州行田ぶしゅうぎょうだには石川機山きざんありなどとよく書かれてあった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「若いのがたった一人欠けちゃ面白くねえ、用事もあるだろうが、町内交際づきあいの積りで、ほんの一とき顔を貸してくれ——って言やいいんだ、一杯やりながらおまりの時刻を待つんだ」
客筋と云うのではない、松坂の富豪池川とは、近い血筋ほどに別懇べっこんな親類交際づきあい
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文学を思切った二葉亭はこれらの文人交際づきあいや本屋の応接に堪えられなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そのうちに大蔵流京笛御指南という看板をかけたので、ははあ、女の笛師かと知ったようなわけで、とな交際づきあいもいたしませんから、間に、女主人のお雪様と、口をわしたこともございません。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつ北条が敵し得ぬにしても長く堪え得るようならば、火事は然程さほどに早くひさしへ来るものでは無い、と考えて、狡黠こうかつには相違無いが、他人交際づきあいの間柄ではあり、戦乱の世の常であるから、形勢観望
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
新「だからサ、親類交際づきあいでおめえから話をしておくれな」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
親類交際づきあいに末永くき通いも出来るから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)