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中姉樣
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ちうねえさま
路は
夫れほどで
無けれど
行き
限りにては
我れも
心配なり
子供たちも
淋しかるべく、
甚之助は
其うちにも
慕ひて、
中姉樣ならでは
夜の
明けぬに、
朝夕の
駄々いかに
増さりて
此君にあたる
人あるまじと
見えけるが、
孃とは
隨一の
中よしにて、
何ごとにも
中姉樣と
慕ひ
寄れば、もとより
物やさしき
質の、これは
又一段に
可愛がりて、
物さびしき
雨の
夜など
甚之助かぎりなく
口惜しがり、
先づ
父君に
歎き
母君を
責め、
長幼の
令孃に
當りあるきて、
中姉樣を
窘め
出すことヽ
恨らみ、
僕をも
一處にやれと
迫まり、
令孃に
對へば
譯もなく
甘へて