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			みひら
		
		  
	
 
  
	
	
		
		
			二つ三つまた五つ、
灯さきは白く立って、却って
檐前を舞う雪の
二片三片が、
薄紅の蝶に
飜って、ほんのりと、娘の
瞼を暖めるように見える。
 
			
		 
		
		
			頃は春の
末ということは庭の桜が
殆ど散り尽して、
色褪せた
花弁の
未だ
梢に残って
居たのが、若葉の
際からホロ/\と
一片三片落つる
様を今も
判然と
想いだすことが出来るので知れます。
 
			
		 
		
		
		
		
			軽く
其の
黒髪を
戦がしに
来る
風もなしに、
空なる
桜が、はら/\と
散つたが、
鳥も
啼かぬ
静かさに、
花片の
音がする……
一片……
二片……
三片……