一封いつぷう)” の例文
宗助そうすけ一封いつぷう紹介状せうかいじやうふところにして山門さんもんはひつた。かれはこれを同僚どうれう知人ちじんなにがしからた。その同僚どうれう役所やくしよ徃復わうふくに、電車でんしやなか洋服やうふく隱袋かくしから菜根譚さいこんたんしてをとこであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
午飯おひるに、けんちんをべていた。——なつことだし、先生せんせい令夫人れいふじん心配しんぱいをなすつて、お實家方さとかたがお醫師いしやだから、玉章ふみいたゞいて出向でむくと、診察しんさつして、打傾うちかたむいて、また一封いつぷう返信へんしよさづけられた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うまく行けば結構だが、そくなへば益三千代の迷惑になるばかりだとは代助も承知してゐたので、強ひて左様さうしやうとも主張しかねた。三千代は又立つてつぎから一封いつぷうの書状をつてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)