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サーチライト
月は
浩々と
冴え
渡りて、
加ふるに
遙かの
沖に
停泊して
居る三四
艘の
某國軍艦からは、
始終探海電燈をもつて
海面を
照して
居るので、
其明なる
事は
白晝を
欺くばかりで
私は
跳上つて
眼を
放つと、
唯見る、
本船々首正面の
海上に、
此時まで
閃々たる
光は
絶えず
海の
八方を
照しつゝ
既に
一海里ばかり
駛り
去つた
海蛇丸は、
此時何故か
探海電燈の
光パツと
消えて
然るに
此時まで、
海蛇丸は
別に
害意ありとも
見えず、たゞ
其甲板からは
絶えず
探海電燈の
閃光を
射出して、
或は
天空を
照し、
或は
其光を
此方に
向け、
又は
海上の
地理形况等を
探るにやあらん