“ぼろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
襤褸91.6%
繿縷2.6%
襤縷1.3%
梵論0.9%
弱点0.4%
暮露0.4%
破綻0.4%
0.4%
紡縷0.4%
褓襤0.4%
襤褄0.4%
襤褓0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いずれ支那兵あたりが使用したものであるが、いまはそれも見世物で、私達が近よってゆくと、五つ六つの襤褸ぼろをまとった女の子が
中支遊記 (新字新仮名) / 上村松園(著)
想い出したついでに付記するが、後年フロールは結婚した相手に棄てられて、窮迫した身に繿縷ぼろまとうて私の銀行へ来て応分の助力を請うたことがある。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
もしも舞踊劇の舞台でのように、乞食が絹の襤縷ぼろを着て、破れたレースをつけて出て来て、優雅な踊りをしながら報謝を乞うのだったら、まだしも見物していられるよ。
打ちはたす梵論ぼろつれだちて夏野かな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
その代りいくら骨を折ってもやっぱり失敗する。つまりは同じ事なんだが、骨を折った失敗は、人の気に入らないでも、自分の弱点ぼろが出ないから、まあ準備をしてからやる事にしている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
瘡家そうけとよばれる田舎医者、あやしげな祈祷師、遊芸人の放下ほうかや、暮露ぼろ(虚無僧)、曲舞くせまい猿楽師さるがくしといったようなものもある。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お延は夫より自分の方がき込んでいる事に気がついた。この調子でしかかって行ったところで、夫はもうつぶされないという見切みきりをつけた時、彼女は自分の破綻ぼろを出す前に身をひるがえした。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
厩には馬が足をことこと言はせてゐる。別当部屋を覗いて見たが、別当はゐない。馬のぼろを棄てる箱があつたので、八はそれに小便をした。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
賭場とばモンテカルロですっからかんになると、突然日本に郷愁を感じたものか、再びもとの懐しい紡縷ぼろまとうて、孤影瀟然しょうぜんとして帰来したのである。
放浪作家の冒険 (新字新仮名) / 西尾正(著)
私がこんなに幸福なときには自然も喜ばしい筈である。乞食の女とその子供——二人とも蒼ざめて褓襤ぼろを着てゐたが——歩道を上つて來るところだつた。
手足から顔まで襤褄ぼろで包んだ男が出て来まして、白髪小僧の様子を見て気の毒に思いましたものか、小供を四方に追い散らして白髪小僧の傍へ寄って
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
煉瓦の塀に沿うて泥溝どろどぶの流れが淀んでいた。鼠色の水底を白い雲のようなものが静かにくぐって行く。そして水面には襤褓ぼろ切れや木片などが黒くなってところどころに浮いていた。
街底の熔鉱炉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)