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はんしや
今の
宗助なら
目を
眩しかねない
事々物々が、
悉く
壯快の二
字を
彼の
額に
燒き
付けべく、
其時は
反射して
來たのである。
今はそれさへ
天涯の
彼方に
落ちて、
見渡す
限り
黒暗々たる
海の
面、たゞ
密雲の
絶間を
洩れたる
星の
光の一二
點が
覺束なくも
浪に
反射して
居るのみである。
地には
光があり
反射があり、
空には
色と
霑ひとがある。
空氣は
澄んで/\
澄み
切つて、どんな
科學者にもそれが
其處にあるといふ
事を一
時忘れさせるであらう。