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にはげた
植ゑ
添へたのが
何時か
伸びて、
丁度咲出た
桔梗の
花が、
浴衣の
袖を
左右に
分れて、すらりと
映つて二三
輪、
色にも
出れば
影をも
宿して、
雪洞の
動くまゝ、
靜かな
庭下駄に
靡いて
打水のあと
輕く
庭下駄にふんで、
裳とる
片手はすかし
骨の
塗柄の
團扇に
蚊を
拂ひつ、
流れに
臨んで
立たる
姿に、
空の
月恥らひてか
不圖かゝる
行く
雲の
末あたり
俄に
暗くなる
折しも