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てんわうじ
名物と
豫て
聞く、——
前にも
一度、
神田の
叔父と、
天王寺を、
其の
時は
相坂の
方から
來て、
今戸邊へ
𢌞る
途中を、こゝで
憩んだ
事がある。が、
最う七八
年にもなつた。
足を
運び
給はゞ
忍ぶが
岡の
緑樹の
朝つゆ、
寐間着のまゝにも
踏み
給ふべし、
螢名所の
田畑も
近かり、
只天王寺の
近き
爲に、
蚊はあまり
少なからねど、
吹き
拂ふに
足る
風十分なり
此も
一人の
友人の、
谷中天王寺に
於ける
其の
葬を
送つたのである。