-
トップ
>
-
ちうざいしよ
『十八丁だすて、東光院まで。……この道を
眞ツ
直ぐに行きますと、
駐在所があつて、
其處から北へ曲るんやさうだす。』
「
駐在所來たよ」
悉皆の
中へ
首を
突き
入れるやうにして
竊と
語つた。
悉皆は
頻りに
輸臝にのみ
心を
奪はれて
居た。
被害者が
駐在所へ
驅けつける
間に、
畑の
遠くに
離れ/″\に
散らばつて
居る
百姓等は
悉く
其れを
知つた。
被害者は
途次大聲を
出して
呶鳴つて
行つたからである。
彼は
畑へ
來たなり
穗は一
本も
伐らないで
其の
儘駐在所へ
驅けつけた。
巡査はそれでも
直ぐに
官服を
着て
被害者と一
緒に
現場へ
來て
見て
伐られた
穗の
數を
改めて
手帖へ
止めた。