“たにあひ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
谷間63.2%
谿間15.8%
谿谷5.3%
谷合5.3%
谷際5.3%
谿合5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこンとこ梅林ばいりんうへやまさくら名所めいしよで、そのした桃谷もゝたにといふのがあつて、谷間たにあひ小流こながれには、菖浦あやめ燕子花かきつばた一杯いつぱいく。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
茶屋は断崖だんがいに迫つて建つてゐるので、深い谿間たにあひと、その谿間を越えて向うの山巒さんらんを一目に見ることが出来る。谿間は暗緑の森で埋まり、それがむくむくと盛上つてゐるやうに見える。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
牛の性質をく暗記して居るといふ丈では、所詮しよせんあの烏帽子ゑぼしだけの深い谿谷たにあひに長く住むことは出来ない。気候には堪へられても、寂寥さびしさには堪へられない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
殊に其日の空気はすこし黄に濁つて、十一月上旬の光に交つて、斯の広濶ひろ谿谷たにあひを盛んにけぶるやうに見せた。長い間、二人は眺め入つた。眺め入り乍ら、互に山のことを語り合つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
海岸を歩けば平地であるのに、岩山に登つたり、谷合たにあひの沼を渡つたりして時間を費したのです。最初出立する時、十二日分の食物を用意したのですから、それもそろそろ無くなり掛かつて来ました。
くだり来し谷際たにあひにして一時ひとときしろくちひさき太陽たいやうを見し
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
まだ午前であつたが、湯殿山の谿合たにあひにかかると風の工合があやしくなつてきてたうとう『御山おやま』は荒れ出して来た。豪雨が全山をでて降つてくるので、かさは飛んでしまひ、ござもちぎれさうである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)