“たにあい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
谷間70.8%
谷合10.8%
谿谷4.6%
谿間3.1%
1.5%
峡谷1.5%
渓谷1.5%
渓間1.5%
溪間1.5%
谷峡1.5%
谿合1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのしずけさの底に、淙々そうそうと水の流れる音がする……のは、この家の裏からおりた谷間たにあいにささやかな渓流のあることを示しているので。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
Sビルディングの裏手に当る所で、一方には大きな倉庫が立並び、道幅は自動車がやっと通れる程の狭い谷合たにあいだった。
この山の背後蒲田川の谿谷たにあい、二里四方もある大盆地に、立派な窩人町を建てましてね、そこに君臨しているのです。決して嘘じゃあありません。もし何んならご案内しましょう。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大人にだって子供にだって、誰にだっても、わけてもこの谿間たにあいでは、一刻も玩具おもちゃなしには生きて行かれませんわ
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「えっ、御承諾ごしょうだく下さいまするか……」畳を下がって礼をのべた。あたかも主君へ対する作法である。その上、おびただしい金布きんぷ贈物おくりものを残して、刈屋頼母かりやたのも大川内おおかわちたにあいからかごを戻して行った。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
峡谷たにあいの山村に、春が過ぎ夏が過ぎ、山そのものが色絵錦いろえにしき陶器すえもののような秋になった。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲斐と信濃の国境、富士見高原のどん詰り、八ヶ岳の渓谷たにあいに、極楽浄土があるそうだ。僧院があるということだ。密夫密婦の隠れ場所、院主は尼僧だということだ。だが有髪うはつだということだ。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「説教が終って、もう立った。念のため、途中まで見えがくれに尾行つけながら来たのだ。今しも、この先の渓間たにあいを、野馬に乗って参るのが親鸞」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と見るとの花のようで、よく山奥の溪間たにあいながれに添うてむれ生ずる、のりうつぎ(サビタの一種)であることを認めた
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは城からひがし北に当る山ふところにあり、清らかな流れと、谷峡たにあいの眺めの美しい場所だった。
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
信濃国しなののくに八ヶ岳、立科山たてしなやまとの谿合たにあいに、尼僧寺院があると聞き、訪ねて行ったのもそのためだ。隠れわそうためだった
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)