谿間たにあい)” の例文
何しろ深い谿間たにあいのじめじめしたところだから、ずるずる止め度もなく、すべって、到頭深い洞穴あなのなかへちてしまったもんですよ。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
大人にだって子供にだって、誰にだっても、わけてもこの谿間たにあいでは、一刻も玩具おもちゃなしには生きて行かれませんわ
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ねえおねえさま、もうこの谿間たにあいに来てしまった以上は、なんと云っても、遠い別世界の話なんでございますからね。どうか、お怒りにならないでくださいましな。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
、とろうとおっしゃるので、それはいくら望んだって、もう出来ないことだと云いたいだけですわ。いいえ、どう思ったって、この谿間たにあいに来てしまったからには、取れるもんですか
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)