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しつちゆう
單に
頭から
割り
出した、
恰も
畫にかいた
餠の
樣な
代物を
持つて、
義理にも
室中に
入らなければならない
自分の
空虚な
事を
耻ぢたのである。
室中に
入る
以上は、
何か
見解を
呈しない
譯に
行かないので、
已を
得ず
納まらない
所を、わざと
納まつた
樣に
取繕つた、
其場限りの
挨拶であつた。
「
此頃室中に
來つて、
何うも
妄想が
起つて
不可ない
抔と
訴へるものがあるが」と
急に
入室者の
不熱心を
戒しめ
出したので、
宗助は
覺えずぎくりとした。