-
トップ
>
-
ごゑん
奧さまの
好み六づかしけれど、
是れも
御縁は
無くて
過ぎゆく、
落葉の
霜の
朝な/\
深くて、
吹く
風いとゞ
身に
寒く、
時雨の
宵は
女子ども
炬燵の
間に
集めて、
浮世物がたりに
小説のうわさ
御恨み申は
罪のほども
恐ろしゝ
何ごとも
殘さず
忘れてお
主さまこそ二
代の
御恩なれ
杉原三
郎といふお
人元來のお
知人にもあらず
况てや
契りし
事も
何もなし
昨日今日逢しばかり
若かもお
主さまの
戀人に
未練のつながる
筈はなし
御縁首尾よく
整のへて
睦ましく
暮し
給ふを