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くひい
然う
斯うして
居る
間に、
松下南面の
方は
大概掘り
盡して
了つた。
余は九
月二
日幻翁佛子の二
人と
共に
行つて、
掘らうとしたが、
既う
余の
坑は、
松の
木の
根方まで
喰入つて
了つて、
進む
事が
出來ぬ。
支へて、
堅く
食入つて、
微かにも
動かぬので、はツと
思ふと、
谷々、
峰々、
一陣轟!と
渡る
風の
音に
吃驚して、
數千仞の
谷底へ、
眞倒に
落ちたと
思つて、
小屋の
中から
轉がり
出した。