“くいい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
喰入66.7%
食入33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
からっきしそれには「芸」の何たるかが分っていなかった。ということはでてくる人物の心持ちへ喰入くいいるすべを露ほどもわきまえていなかった。何ともいえない哀れ惨憺たるその……。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
ふと、この街をめぐる、或る大きなものの構図が、このとき正三の眼に描かれて来だした。……清冽せいれつな河川をいくつか乗越え、電車が市外に出てからも、正三の眼は窓の外の風景に喰入くいいっていた。
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
つかえて、堅く食入くいいって、かすかにも動かぬので、はッと思うと、谷々、峰々、一陣いちじんごう! と渡る風の音に吃驚びっくりして、数千仞すうせんじんの谷底へ、真倒まっさかさまに落ちたと思って、小屋の中から転がり出した。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)