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きつねがうし
成程、
狐格子に
釣つて
置いた
提灯は
何時までも
蝋燭が
消たずには
居らぬ。……
気が
着くと
板椽に
腰を
落し、
段に
脚を
投げてぐつたりして
居た。
はつと
思へば、
烏ほどの
真黒な
鳥が
一羽虫蝕だらけの
格天井を
颯と
掠めて
狐格子をばさりと
飛出す……
横へ
切れて
田畝道を、
向ふへ、
一方が
山の
裙、
片傍を
一叢の
森で
仕切つた
真中が、
茫と
展けて、
草の
生が
朧月に、
雲の
簇がるやうな
奥に、
祠の
狐格子を
洩れる
灯が