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きそがは
飛騨と
信濃の
境を
走る
峻嶺を「
日本アルプス」などと
得意顏に
唱へ、
甚だしきは
木曾川を「
日本ライン」といひ、
更に
甚だしきは、その
或地點を「
日本ローレライ」などといつたものがある。
何といふ
深い
山や
谷が
父さんの
行く
先にありましたらう。
父さんは
木曽川の
見える
谷間について、
林の
中を
歩いて
行くやうなものでした。
このお
猿さんの
飼つてあるところは
高い
崖の
下でした。
橋の
下を
流れる
木曽川がよく
見えて、
深い
山の
中らしい、
景色の
好いところでした。
小父さんの
家のある
木曾福島町は
御嶽山に
近いところですが、あれから
木曽川について十
里ばかりも
川下に
神坂村といふ
村があります。それが
父さんの
生れた
村です。