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がや/\
證據となし
敵と
覘ふは必定なりと思ひ日頃より用心
堅固にして身を
戒愼居たりしが此日重四郎に
用事有て
隣家迄
來掛りし所重四郎が
宅にて
囂々と人聲なすゆゑ何事やらんと
竊かに身を
潜め内の樣子を
我は
手に
握つて、
双の
眼で
明かに
見る
采の
目を、
多勢が
暗中に
摸索して、
丁か、
半か、
生か、
死か、と
喧々騒ぎ
立てるほど
可笑な
事は
無い。
『
御許され、
御許され。』と
声が
交つて、
喧々と
嘵舌つた、と
思はれよ。