“いんじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
印璽21.1%
韻事21.1%
徃時10.5%
院司10.5%
院旨10.5%
陰事5.3%
隱事5.3%
韵事5.3%
韵字5.3%
韻字5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
物語の書物に書かれてる怪物のようである、ソロモンの印璽いんじの下にアラビアの手箱の中に閉じ込められてる悪鬼のようである。——またあるものはびてくる。だますかそうとつとめる。
濃くあまく、湯加減ゆかげんに出た、重い露を、舌の先へ一しずくずつ落してあじわって見るのは閑人適意かんじんてきい韻事いんじである。普通の人は茶を飲むものと心得ているが、あれは間違だ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
爾時そのとき毒龍どくりようのいひけるは、徃時いんじ桃太もゝた
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
つとに、お待ちうけらしいたたずまいである。院司いんじの上奏あって、すぐ乱声らんじょう(雅楽部の合奏)のうちに、鸞輿は、さらに中門へ進められた。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後白河法皇の優渥ゆうあく思召おぼしめしから、院旨いんじを以て、叙位じょい官職を賜わったものと聞かされた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弟が上訴しなければ、その妻の陰事いんじは摘発されなかったであろう。妻の陰事が露顕しなければ、この裁判はいつまでも落着らくぢゃくしなかったであろう。
「そりやさうですがね、お内儀かみさん」勘次かんじなんだが隱事いんじでもあばかれたやうにあわてゝいつてさうして苦笑くせうした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
或時長頭丸即ち貞徳ていとくが公をうた時、公は閑栖かんせい韵事いんじであるが、やわらかな日のさす庭に出て、唐松からまつ実生みばえ釣瓶つるべに手ずから植えていた。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、自身の得る韵字いんじ披露ひろうしたが、その声がすでに人よりすぐれていた。次は頭中将とうのちゅうじょうで、この順番を晴れがましく思うことであろうと見えたが、きわめて無難に得た韵字を告げた。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
けれども(平仄韻字いんじはさておいて)、詩のおもむきは王朝以後の伝習で久しく日本化されて今日こんにちに至ったものだから、吾々くらいの年輩の日本人の頭からは、容易にこれを奪い去る事ができない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)