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あまごひ
などと、いや
何うも
氣恥かしいが、
其處で
倒れまいと、
一生懸命に
推敲した。このために、
炎天に
一滴の
汗も
出なかつたのは、
敢て
歌の
雨乞の
奇特ではない。
江戸兒夥間だと、
氣をつけろい、ぢやんがら
仙人、
何處の
雨乞から
來やあがつた、で、
無事に
濟むべきものではないが、
三代相傳の
江戸兒は、
田舍ものだ、と
斷る
上は
なやましき
柳を
吹く
風さへ、
赤き
蟻の
群る
如し。あれ、
聞け、
雨乞の
聲を
消して、
凄じく
鳴く
蝉の、
油のみ
汗に
滴るや、ひとへに
思ふ、
河海と
山岳と。
峰と
言ひ、
水と
呼ぶ、
實に
戀人の
名なるかな。