)” の例文
直に打つのるのと騒ぎまして其度にひや/\させまする、お蔭さまで一人前にはなつて居りましても未だ児童がきのやうな真一酷まいつこく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
義残後覚ぎざんこうかく』七、太郎次てふ大力の男が鬼面をかぶり、鳥羽の作り道で行客を脅かし追剥おいはぎするを、松重岩之丞があらわす条、『石田軍記』三
つなぎ合せて肩をおおえる鋼鉄はがねの延板の、もっとも外に向えるが二つに折れて肉に入る。吾がうちし太刀先は巨人の盾をななめってかつと鳴るのみ。……
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところが、七草の日に在数は無理に九条家に出頭したので、九条政基ならびにその子すなわち実隆の女婿じょせいたる尚経は、この在数をり殺した。
その地点を見れば、まさしく胆吹山の南麓であって、その周囲を見れば荒野原、その一部分の雑木がり倒され、榛莽荊棘しんもうけいきょくが刈り去られてある。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
初めの一里ばかりは馬君うまくん風をって駆けたが、次第に暗くはなるし、山路の事とてみちは素敵に悪るい。路の中には大きな石がゴロゴロしている。
内儀は白糸の懐に出刃をつつみし片袖をさぐてて、引っつかみたるままのがれんとするを、畳み懸けてそのかしらり着けたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三十年あまり前、世間のひどく不景気であった年に、西美濃みのの山の中で炭を焼く五十ばかりの男が、子供を二人まで、まさかりり殺したことがあった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
もしある時期に達して小樅をり払ってしまうならば大樅はひとり土地を占領してその成長を続けるであろうと。
それを引分ひきわけうとて拔劍きましたる途端とたんに、のチッバルトの我武者がむしゃめがけんいて駈付かけつけ、鬪戰たゝかひいどみ、白刃しらは揮𢌞ふりまはし、いたづらに虚空こくうをばりまするほど
そののち五百は折々ほうき塵払ちりはらいを結び附けて、双手そうしゅの如くにし、これに衣服をまとって壁に立て掛け、さてこれをいきおいをなして、「おのれ、母のかたき、思い知ったか」
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
寄て見ると左の拇指と人指し指とをいためて居りました——。えんから飛出した時暗がりから不意にり付けたのを短銃ぴすとるで受止めたが切先きが余つてきずつひたのです——。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
だが、何の職業にもけず、世間にも知られず、ひたすら自分ひとりで、ものを書いて行こうとする男には、身をりさいなむばかりの不安と焦躁しょうそうが渦巻いていた。
苦しく美しき夏 (新字新仮名) / 原民喜(著)
彼の情有なさけあことばを聞けば、身をもらるるやうに覚ゆるなり。宮は彼の優き心根こころねを見ることを恐れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
(貴樣、おれを殺すつもりか、大逆無道者!)とたいまつのやうな眼光で睨まれた、臆しもせず淵邊の野郎が、そのお膝をりつけ、御身體に馬乘りになつて咽喉を突きかけると
滑川畔にて (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
... 鶏を締めるにはのどる人もあるし、くびをひねる人もあるがどっちがいいのだね」中川
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
征衣せいいのまま昼夜草鞋わらじを解かず、またその間にはしばしば降雪にい、ために風力計凝結ぎょうけつして廻転をとどむるや、真夜中にるが如き寒冽なる強風をおかして暗黒あんこく屋後おくごの氷山にじ登り
しかりといえども彼が改革は、多少の怨敵を彼の身辺に湧かしめたり。彼の門楹もんえいられたり、彼の石矼せっこうこぼたれたり、彼の前庭には、二人の刺客の足を印したり。彼みずから歌うて曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
右の腕を、虚空をるように、猛烈に二三度振って、自分の力量と弾力との衰えないのを試めして見て、独りみずから喜んだ。それから書いたものをざっと読んで見た。かなりの出来である。
小金吾意気込むと花道まで逃げ「るならこゝまで来い、手前てめえがこゝまで来りやあ、己は逃げてしまふ、つて赤い血が出なけりやあ、銭は取らねえ、己の腕にはな、条鉄すじがねがへえつて居る」
去年三月殿中において高家の筆頭吉良上野介にりつけ、即日切腹、お家断絶となった主君浅野内匠頭の泉下の妄執もうしゅうを晴さんために、昨夜吉良邸に乗こんで、主君の仇上野介の首級しるしを揚げ
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
あらられたる石にも神の定めたる運あり。」とは沙翁の悟道なり。静かに物象を観ずれば、物として定運なきにあらず。誰か恨むべき神を知りそめたる。誰かかこつべきぶつを識りそめたる。
山庵雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
すなは大樹たいじゆしらげて、これしよしていはく、『龐涓はうけん此樹このきもとせん』と。
ロイドは、自発的に勤労を申出た二百人の土人を指揮して、未明から、ヴァエア山巓さんてんへの道をひらいていた。其の山頂こそ、スティヴンスンが、生前、埋骨の地と指定して置いた所だった。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
すなわちただ敵をろう、前に進もうという考えで齷齪あくせくするあいだは、勝つことも進むこともおぼつかない、しかるに一歩一寸退しりぞく余裕があれば、その突嗟とっさに敵のすきがわかる。そこで勝てる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
忽ちまた真向うの、石をり出す処の岩壁が光り出した。それが黄いろい、燃え上がっている石の塀のように見える。それと同時に河に掛かっている鉄の船も陸に停まっている列車も光り出す。
(新字新仮名) / ウィルヘルム・シュミットボン(著)
上州じょうしゅう岩鼻いわはなの代官をり殺した国定忠次くにさだちゅうじ一家の者は、赤城山あかぎやまへ立てこもって、八州の捕方とりかたを避けていたが、其処そこも防ぎきれなくなると、忠次をはじめ、十四五人の乾児こぶんは、ようやく一方の血路を、り開いて
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
火事では大変だと思いあわてて道路に駈け降りますと、外は烈風に加うるに肉のりとられる様な寒さで、寝巻の上にどてらを羽織った男女が大勢道路の両側に立って居て、火事だ、火事だ、何処だ
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
「はしなくも敵に探られて、そうじゃ、そのままたおされて……」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
城のくるわに用ひられたる石材はこの島よりりいだしきといふ。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
冬山の枯山からやま來ればいさぎよしかんにひびきて何かる音
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、剣を抜いて、石をったということである。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薄々聴いた噂では十兵衛も耳朶みみたぶの一ツや半分られても恨まれぬはず、随分清吉の軽躁行為おっちょこちょいもちょいとおかしないい洒落か知れぬ、ハハハ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これまでなりと観念したる白糸は、持ちたる出刃を取り直し、躍り狂う内儀ののんど目懸めがけてただ一突きと突きたりしに、ねらいをはずして肩頭かたさきりたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
比丘犬の心を知って食を分ち与うると、狗喜んで慈心を生じ、比丘に向ってその足をねぶった。のちまた門外に臥すとかつて噛まれた人がその頭をって殺した。
ただし通例はあたって人をきずつけることがない。第二には天狗倒し、非常な大木をゴッシンゴッシンとる音が聴え、ほどなくえらい響を立てて地に倒れる。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
六郎が父は、其夜酔臥すいがしたりしが、まくらもとにて声掛けられ、忽ちはね起きて短刀たんとうきはなし、一たちられながら、第二第三の太刀を受けとめぬ。その命を断ちしは第四の太刀なりき。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
くびは筋だけ抜いて頸の料理が出来るし、のどって出した血も酒の中へらして掻き混ぜておくと凝結かたまらないから色々の料理に使う。板の上へ血を滴らすとぐ凝結って役に立たんよ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
いづくんぞ敵あるを知らんや、電光影裡えいりに春風をるものは、人意かた天意か
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
棍棒ばうぎれのやうに揮𢌞ふりまはして、われ我手わがてこの腦天なうてんをばくだきゃせぬか? あれ/\! チッバルトの怨靈をんりゃうが、細刃ほそみられた返報へんぽうをしようとて、ロミオを追𢌞おひまはしてゐるのがゆるやうぢゃ! あ、あれ
なんだ/\/\刀の柄へ手を掛けて、おれをる気か、べらばうめえ
実隆はまた庭に葡萄ぶどうを植えたとみえて、延徳元年の八月にこれを始めて禁裏に献上しているが、ちょっとわからぬのは、庭の榎の樹をって薪にした時に、三把を禁裏に進上していることである。
竹藪たけやぶに伏勢を張ッている村雀むらすずめはあらたに軍議を開き初め、ねや隙間すきまからり込んで来る暁の光は次第にあたりの闇を追い退け、遠山の角にはあかねの幕がわたり、遠近おちこち渓間たにまからは朝雲の狼煙のろしが立ち昇る。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
冬山の枯山からやま来ればいさぎよしかんにひびきて何かる音
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
門を入ると寺内は思いのほかに廓落からりひろくて、松だか杉だか知らぬが恐ろしい大きな木があったのを今より何年か前にったと見えて、大きな切株の跡の上を
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
網で捕えてまき数車を積み焼くに、薪尽きても燃えず灰中に立ち毛も焦げず、っても刺しても入らず、打てば灰嚢のごとし、鉄槌かなづちで数十度打ってようやく死ねど
仮にあの材料の石類がみな手近てぢかにあったとしても、あれをみがって穴をあける技術が備わるまで、頸に玉を貫いて掛ける風習が、始まらずに待っていたか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其でも先方さきが愚図〻〻いへば正面まともに源太が喧嘩を買つて破裂ばれの始末をつければ可いさ、薄〻聴いた噂では十兵衞も耳朶の一ツや半分り奪られても恨まれぬ筈
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
また一つには石工いしくがなく、石をり出す者が村におらず、石塔の代りにただ土の塚を築いていたからで、起りは決してそのように新しいものではなかったようである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
『梁書』に〈倭国獣あり牛のごとし、山鼠と名づく、また大蛇あり、この獣を呑む、蛇皮堅くしてるべからず、その上孔あり、はやく開き乍く閉づ、時にあるいは光あり