“焦躁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しょうそう69.4%
せうさう6.6%
あせ5.8%
もどか3.3%
あせり3.3%
いらだ3.3%
じれ2.5%
いら0.8%
いらだて0.8%
いらっ0.8%
いらつ0.8%
0.8%
せうそう0.8%
もがき0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこへ仁木義長とこう師直もろなおも、ふなべりを接している隣の船からはいって来て、同じような焦躁しょうそうをおもてに持ち、尊氏へむかって言った。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜘蛛の巣さへなければ、この男を助けて置くのでは無かつたと言つた不思議な焦躁せうさうが、新吉の胸をさいなみ始めた樣子です。
嬢次少年に欺かれ、もてあそばれたという憤怒のほのおに熱し切っていた。そうしてその中に、今日の出来事の原因結果を整理しようと焦躁あせっていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
またしても私がその三野村にまた輪をかけたほど惚れているのに、それを遺憾なくわからすすべのないのが焦躁もどかしかった。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
何となく彼の焦躁あせりが感ぜられるからである。老将の眼から見ると、総帥そうすいたる人のそういう心理は案じられるものだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
滝人の頭は、しだいに焦躁いらだたしさで、こんがらがってきた。もしこの機会を逃したなら、あるいは明日にも、十四郎は片眼の繃帯をらぬとも限らないのである。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
今晩なぞとは手ぬるいぞ、と驀向まつかうから焦躁じれを吹つ掛けて、飲め、酒は車懸り、猪口ちよくは巴と廻せ廻せ、お房外見みえをするな、春婆大人ぶるな
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
僕は東京へ帰ってからの気分を想像して、あるいは刺戟しげきを眼の前に控えた鎌倉にいるよりもかえって焦躁いらつきはしまいかと心配した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
我に続けと憤怒の牙噛み鳴らしつゝ夜叉王の躍り上つて焦躁いらだてば、虚空に充ち満ちたる眷属、をたけび鋭くをめき叫んで遮に無に暴威を揮ふほどに、神前寺内に立てる樹も富家の庭に養はれし樹も
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
晩方になりて時刻もきたるに吉兵衛焦躁いらって八方を駈廻かけめぐり探索すれば同業のかたとまり居し若き男と共に立去りしよし。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、焦躁いらつく胸をじっとおさえながら急いで、そこの小路を表の通りに出てきて、そこから近い、とある自動電話の中に入って、そこの家の番号を呼び出して訊ねてみた。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
あわてた與吉よきち軸木ぢくぎさきからいたづらにのやうなけぶりてるのみであつた。かれ焦躁れて卯平うへいあしもとのはひ燐寸マツチはこげた。はこはからりとつた。はこそこはもうえてたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
闇雲やみくもに先きを急ぐやうな若い時の焦躁せうそうが、古いバネのやうにゆるんで、感じが稀薄になるからでもあるが、一つは生命の連続である子供達の生長をよろこぶ心と、哀れむ心が
風呂桶 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
不安な焦躁もがきと、倦怠だるさが心一杯に拡がった。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)