鸚鵡返おうむがえ)” の例文
ぼくとではない」と、ベロヴゾーロフは鸚鵡返おうむがえしに——「どうぞ御随意ごずいいに。まあいいです。とにかく馬は、手に入れて差上げますよ」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「朴の花ですか?」深沢さんは鸚鵡返おうむがえしに答えて、それからもう一ぺんその花を見上げながら言った。「いい花だなあ。」
朴の咲く頃 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
その時は鸚鵡返おうむがえしに「ばんしょうじ」と、こちらものみこみ顔に受取りはしたものの、前後がはっきりしていないのです。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古藤は鸚鵡返おうむがえしに没義道もぎどうにこれだけいって、ふいと手欄てすりを離れて、麦稈むぎわら帽子を目深まぶかにかぶりながら、乳母に付き添った。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「髑髏だって!」とルグランは鸚鵡返おうむがえしに言った。——「うん、——そうだ、いかにも紙にいたところでは幾分そんな格好をしてるな、たしかに。 ...
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
い天気になりましたなあ。」と、市郎も鸚鵡返おうむがえしに挨拶して、早々にここを行き過ぎた。女は枯柳の下に立って、暫時しばしの後姿を見送っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「どうしてそれがおめえに分らねえ?」三浦は鸚鵡返おうむがえしに「こっちにするとそういいてえ奴だ。」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
と聞くや否や、鸚鵡返おうむがえしに力が入った。床の間にしっとりと露をかついだ矢車の花は、あかり余所よそに、暖か過ぎて障子をすかした、富士見町あたりの大空の星の光を宿して、美しくいかっている。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、鸚鵡返おうむがえしにつぶやいて、久米之丞は暗い色をその顔にただよわせる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「凄いような美男の武士?」思わず甚内は鸚鵡返おうむがえした。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「嘘の住所だと!」テナルディエは鸚鵡返おうむがえしに言った。
「右手かい?」と、馭者が鸚鵡返おうむがえしに念をおした。
何と思ったか国経は、鸚鵡返おうむがえしに云った。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「一時間の余!」と、思わずわたしは鸚鵡返おうむがえしに言って、客間へ引返すと、お辞儀じぎしたり足ずりしたりし始めた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「血」「血」「血」と貴婦人方は鸚鵡返おうむがえし、皆五六尺飛退とびすさる。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、さきほどお雪ちゃんが言った通りに鸚鵡返おうむがえしをして
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
孔明が、鸚鵡返おうむがえしに訊くと、馬謖は
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『死んだ!』とわたしは、入口番の顔をぼんやり見つめながら、鸚鵡返おうむがえしに言った。そして、そっと往来へ出ると、どこへとて当てもなしに歩き出した。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
鸚鵡返おうむがえしで
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鸚鵡返おうむがえしに
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)