高野かうや)” の例文
(薄衣と與一は奧へ去る。六郎と小萬は高野かうやの僧智山ちざんを案内して出づ。智山は四十餘歳、旅すがたにて笠と杖とを持つ。)
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
この仏法僧鳥は高野山に啼く霊鳥で、運くば聴ける、後生ごしやうの好くない者は聴けぬ。それであるから、可なり長く高野かうやこもつたものでも、つひに仏法僧鳥を聴かずに下山する者の方が多い。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
坪内逍遙博士が今の高田文相などと一緒に高野かうやのぼつた事があつた。見物も一通り済んで、いよいよ下山といふ事になると、博士はお寺の土間をうろうろして何だか捜し物でもしてゐるらしい。
はた永の徒歩かちに疲れしにや、二人とも弱り果てし如く、踏み締むる足に力なく青竹あをだけの杖に身を持たせて、主從相扶け、あへぎ/\のぼり行く高野かうやの山路、早や夕陽も名殘を山の巓に留めて、そばの陰、森の下
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
むかし美作みまさかノ国に、中参ちゅうさん高野かうやと申す神まします。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて徳太郎君は和歌山わかやま城下じやうかは申すにおよば近在きんざいなる山谷さんこく原野げんやへだてなく駈廻かけめぐりて殺生せつしやう高野かうや根來等ねごろとう靈山れいざんのちには伊勢いせ神領しんりやうまであらさるゝゆゑ百姓共迷惑めいわくに思ひしが詮方せんかたなく其儘そのまゝ捨置すておきけりこゝに勢州阿漕あこぎうらといふは往古わうこより殺生禁斷せつしやうきんだんの場なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
玉川に高野かうやの花や流れ去る
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
高野かうやの英霊塔9・7(夕)
高野かうやの僧智山ちざん
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)