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高野村
言つしやる我はそんな不屆な者ではなく
丸龜在高野村の百姓半左衞門が
悴半四郎と云者親類から頼まれたる
飛脚にて松山の親類へ
行に相違なく急用故に夜道を
然るに半四郎は
後藤秀盛と同道して
讃州高野村へ立歸り我家に到りて
父半左衞門へ
途中の
次第を落もなく物語りければ半左衞門は
且驚き
且喜び
早速秀盛を
請じ我子を助けられし
恩人なりと
厚く禮を
御助け下されし事
實に有難く此御恩生々世々忘れ申まじ私しは
讃州丸龜在高野村の百姓半左衞門の次男半四郎と申者に候が
親類より
頼れし急用にて
伊豫の松山迄參る途中先刻松の尾と申宿にて夜食の
機から雲助ども理不盡に酒代を