いん)” の例文
旧字:
子曰く、賢なるかな回や、一箪いったん一瓢いっぴょういん陋巷ろうこうにあり。人は其の憂いにえざらんも、回は其の楽しみを改めず。賢なるかな回や。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
尤も前にも云つたやうに、「負郭ふくわくの田三百畝、半はきびう」と云ふので、いんの為に家産がわづらはされるやうなおそれは、万々ない。
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
幼儀ようぎ雑箴ざっしん二十首を読めば、りつこうしんより、げんどういんしょく等に至る、皆道にたがわざらんことを欲して、而して実践躬行底きゅうこうていより徳を成さんとするの意、看取すべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
徳利の底をたたく——長夜のいん。言葉が切れると、夜の更ける音が耳をつき刺すようだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
觥籌こうちゅう又何ぞ数えんといいて、快楽主義者の如く、希直きちょくは俗にして、いんしんに、酒のうれいたる、謹者きんしゃをしてすさみ、荘者をして狂し、貴者をしていやしく、存者そんしゃをしてほろばしむ、といい、酒巵しゅしの銘には
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)