ころ)” の例文
こればかりは何ういう事か解りません、間がいとい事ばかりで、間が悪いと悪い事ばかりあるもので、運のいゝ方はころんだかと思えばさつを拾い
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と思うたら、自動車のタイヤに鼻づらをかれたのであろう、ひょろ/\と二度ばかりころんだ。自動車は見かえりもせず東京の方に奔って往って了うた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ト、下駄の歯の間にたまった雪に足を取られて、ほとほところびそうになった。が、素捷すばやい身のこなし、足の踏立変ふみたてがえの巧さで、二三歩泳ぎはしたが、しゃんと踏止まった。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「そんなにおこつたつてなほるめえな、おとつゝあは」とつひにはおつぎが勘次かんじしかつた。與吉よきちたゞくるしんでむねむしやうにしつゝころがつていた。卯平うへいさわぎをいてのつそりとた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
どうも並んでいる番頭の座が急に高くなって、番頭そのものが余の方に摺落ずりおちて来そうになったり、またはあべこべに、余が番頭のシャッポの上にころび落ちそうになるのは心好こころよくないものである。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
酒ある時跪座きざし酒なき時ころ
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)