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頤杖
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あごづゑ
烈々と
燃える
暖炉のほてりで、
赤い
顔の、
小刀を
持つたまゝ
頤杖をついて、
仰向いて、ひよいと
此方を
向いた
父の
顔が
真蒼に
成つた。
其の
和尚が、
私の
目の
前へ
腰を
屈めて、
支いた
藜を
頤杖にして、
白い
髯を
泳がせ
泳がせ、
口も
利かないで、
身體中をじろ/\と
覗込むではござんせんか。
疾く
我が
小刀を
袋に
納めて、
頤杖して
待つて
居た
老爺は、
雪枝の
作品を
掌に
据えて
煙管を
啣えた。