露見ろけん)” の例文
その上でたずねてみると、どうも様子がおかしい。ついに正体が露見ろけんするが、結社の本部を知られてはもうかして置けぬということになる。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「いや、かりにあなたが人殺しをしてそれが露見ろけんしたとあなたに知らしても、それ以上びつくりした顏付にはならないでせうよ。」
と、流石さすがの梅吉も一応躊躇したものゝ、後で露見ろけんしたところで、腹を立てるような男ではなし、面白いからやって見ろ、と云う気になりました。
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
源中納言を誘って同車して自邸へ向かったのである。この日が三日の露見ろけんの式の行なわれる夜になっていた。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
われつかまれば、この地へ入り込んでいる一党の密計が露見ろけんしてしまう。……そうだ。仲間一同のためでもあるから、汝も呑みこんでおくように、説いてやろう」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくら隠しても、どこからか露見ろけんするからな。——しかし不思議と云えば不思議ですねえ、金田の奥さん、どうしてこの秘密を御探知になったんです、実に驚ろきますな
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ことによると俺の馬の脚も露見ろけんする時が来たのかも知れない。……
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこで矢張り染め続けていますと、到頭悪事あくじ露見ろけんの日が参りました
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「父上ツ、露見ろけん——早く、早く、地雷火ぢらいくわツ」
「じゃあ、早くも、こと露見ろけんってえわけですね。白日鼠はくじつそもろいやつだナ。拷問ごうもんぐらいに口を割るとは」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のみならず、それを平気に翌日あくるひ連れてつたので、とう/\露見ろけんして仕舞つたのださうである。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれは自分の身の上までの露見ろけんを恐れたのだ。それからというものは、彼はずっと島根県にブラブラしていた。それがこの頃、東京へ出て来たのには訳がある。彼は一つの疑問を持っていた……
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
御母おっかさんも定めし喜ばれるであろうと、露見ろけんする気づかいがないものだから勝手な事を考えながらながめていた。軍曹も何か物足らぬと見えてしきりにあたりを見廻している。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これが宮方加担みやかたかたん露見ろけんとでもいうのだったら、まずまちがいなく首はないが
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなに早く露見ろけんしたのかなア。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
うっかり、いい返事をしたが、又八は、露見ろけんをおそれて
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露見ろけんか?
鍵から抜け出した女 (新字新仮名) / 海野十三(著)