雨曝あまざら)” の例文
たれらぬので、ひさしあひだ雨曝あまざらしぢや。船頭せんどうふね退屈たいくつをしたところまたこれが張合はりあひで、わし手遊おもちやこさへられます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
明治以後は堂を取り払って、雨曝あまざらしのようになっていますが、相変らずお花やお線香は絶えないようです
半七捕物帳:66 地蔵は踊る (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
独語ひとりごとをいいながら其の樹に攀登よじのぼり、矢を抜いて見ますと、最早竹のしょうけて枯枝同然、三四年も前から雨曝あまざらしになっていたものと見えて、ぽき/\と折れまする。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
けれども彼らの雨曝あまざらしになるのをに病んだほどの大嵩おおがさなものはどこにも見当らなかった。のみならず、じいさんは自分が先刻云った事さえもう忘れているらしかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こういうあたいなしに務めるものがあればこそ、旅行中にも雨曝あまざらしのなんまぬかれる。こういう心がけのものが多ければ多きほど、人生なる旅路たびじは真の快楽かいらく幸福を増すものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「だが荷物が厄介やっかいだよ。あの軽便へ雨曝あまざらしのまま載せられる事を考えると、少し心細くなるから」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
警官に依頼し轎夫きょうふ雇入やといいれを命令的に誘導ゆうどう的に周旋しゅうせんしてもらったが、しばしは一人の応ずるものもなく、雨曝あまざらしになって進退きわまった。この時、村の青年が三、四人、みずから進み出て
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)