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雨天
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うてん
偖文右衞門は我が
家に歸りて衣類大小を
能々改め見るに
品數も
相違なく幸ひ今日は
雨天にて
貰ひにも出られず
直樣是より稻葉侯の御家中へ大小を
ゆえに
雨天の日は
終日開かなく、また夜中もむろん
閉じている。閉じるとその形が
筆の
頴の形をしていて
捩れたたんでいる。色は
藍紫色で外は往々
褐紫色を
呈しているが、まれに白花のものがある。
知て何時にても
用達て呉るのみならず諸處ヘ
引付出入場も多く出來るに付
明暮立入隱居の用事とあれば
渡世を
休みても致し居たり或時
雨天にて彦兵衞は
商ひを