かゝは)” の例文
旧字:
そのいかなる意味の復讐にかゝはらず、人間の心血を熱して、或は動物の如く、或は聖者の如く、人を意志の世界に覚めしむるはあやし、あやし。
復讐・戦争・自殺 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
今はその季節で無いにかゝはらず、いろんな絵の展覧会が各所に催されるのはうれしい。新しいそれ等の会を毎日一箇所づつ観て廻つても不足しない様である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
水曜日は諸学校に授業あるにかゝはらず、私塾大抵たいていは休暇なり。予はかんに乗じ、庭にでての竹藪に赴けり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
勝野君はまた勝野君で、どうも彼組あのくみの生徒は狡猾ずるくて不可いかん、斯ういふことが度々重ると学校の威信にかゝはる、生徒として規則を守らないやうなものは休校させろ——まあ斯う言ふのさ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
世界の出来事と世界の運命にはかゝはり知るところあらずと言ひて、この高潔偉大なる事業に力を借すことなければ、彼等果して我を何とか言はむ。
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
巴里パリイ人の事だから無論多少の酒を飲んで居るにかゝはらず日本の花見に見受ける様な乱酔者ゑつぱらひまつたく無い。従つて執拗しつこ悪巫戯わるふざけをする者が無く、警察事故も生じない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
だが又セエヌ河へ出て見ると、一週間まへから洪水おほみづ通船つうせんとまつた騒ぎであるにかゝはらず、水にひたつた繋船河岸かし其処彼処そこかしこで黒い山高帽のむれが朝早くから長い竿を取つて釣をして居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)