トップ
>
長夜
>
ちょうや
ふりがな文庫
“
長夜
(
ちょうや
)” の例文
空は星が高く、
葛野郡
(
かどのごおり
)
へ銀河が流れる。一二軒、
長夜
(
ちょうや
)
の宴を張った揚屋の
灯
(
ひ
)
も見えるが、そのほかは静かな
朱雀野
(
すざくの
)
の夜の色。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それがなぜか、長い
惰眠
(
だみん
)
にでも溺れていた気がする。まるで
長夜
(
ちょうや
)
の夢から醒めたような今日の空ではあるよ。もう、あのような大酒は以後きっと慎もう」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今年のこの暑さに
就
(
つい
)
て、論語しか知らない某実業家は、生殖腺ホルモンの注射を受けながら、「日本人の
長夜
(
ちょうや
)
の夢を覚醒させるために、天が警告を発したのだ」
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
墓の
此方側
(
こちらがわ
)
なるすべてのいさくさは、肉
一重
(
ひとえ
)
の垣に
隔
(
へだ
)
てられた
因果
(
いんが
)
に、枯れ果てたる骸骨にいらぬ
情
(
なさ
)
けの油を
注
(
さ
)
して、要なき
屍
(
しかばね
)
に
長夜
(
ちょうや
)
の踊をおどらしむる
滑稽
(
こっけい
)
である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
死体置場の警戒のために、その部屋に詰めていた警官は、
長夜
(
ちょうや
)
にわたって、べつに異常もないものだから、いすに腰をおろしたまま、うつらうつらといねむりをしていた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
旧識同伴の
間闊
(
とおどおしき
)
を恨み、生前には
名聞
(
みょうもん
)
の遂げざるを
愁
(
うれ
)
え、死後は
長夜
(
ちょうや
)
の
苦患
(
くげん
)
を恐れ、目を
塞
(
ふさ
)
ぎて
打臥
(
うちふ
)
し居たるは、
殊勝
(
しゅしょう
)
に物静かなれども、胸中騒がしく、心上苦しく、三合の病いに
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
日の最長きは
夏至
(
げし
)
前後なり、しかれども俳句にては日永を春とす。夜の最長きは冬至前後なり、しかれども俳句にては
長夜
(
ちょうや
)
を秋とす。これは理屈より
出
(
い
)
でずして感情に
本
(
もと
)
づきたるの致す所なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一方、当の上級将校たちは、すでにわが事成れりとばかりに、小川秋明も加えて料亭で
長夜
(
ちょうや
)
の宴を張っていた。その席には、北槻中尉らも呼ばれたが、いずれも不快のおもいを与えられるだけだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「実際これが自分の魂だと思うと、
侍
(
さむらい
)
が
研
(
と
)
ぎ澄した名刀を、
長夜
(
ちょうや
)
の
灯影
(
ほかげ
)
で
鞘払
(
さやばらい
)
をする時のような心持ちがするものですよ。私は弓を持ったままぶるぶるとふるえました」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さりとは長い
長夜
(
ちょうや
)
の眠りだ。もういいかげんで眼をさましたらどうだ。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“長夜”の意味
《名詞》
長い夜。
死んで埋葬されれこと。
凡夫が長く煩悩の世界に迷っているさま。
(出典:Wiktionary)
長
常用漢字
小2
部首:⾧
8画
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
“長”で始まる語句
長
長閑
長襦袢
長押
長火鉢
長椅子
長刀
長柄
長靴
長生