つるし)” の例文
薄暗うすぐらつるしランプの光がせこけた小作こづくりの身体からだをば猶更なほさらけて見せるので、ふいとれがむかし立派りつぱな質屋の可愛かあいらしい箱入娘はこいりむすめだつたのかと思ふと
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
薄暗いつるしランプの光がせこけた小作りの身体からだをばなお更にけて見せるので、ふいとこれが昔は立派な質屋しちやの可愛らしい箱入娘はこいりむすめだったのかと思うと
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蘿月は仕方なしに雨戸を閉めて、再びぼんやりつるしランプの下に坐って、続けざまに煙草をんでは柱時計の針の動くのを眺めた。時々ねずみが恐しいひびきをたてて天井裏を走る。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
蘿月らげつ仕方しかたなしに雨戸あまどめて、再びぼんやりつるしランプのしたすわつて、続けざまに煙草たばこんでは柱時計はしらどけいの針の動くのをながめた。時々ねずみおそろしいひゞきをたてゝ天井裏てんじやううらを走る。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
鼠がまた突如だしぬけに天井裏を走る。風はまだ吹き止まない。つるしランプの火は絶えず動揺ゆらめく。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ねずみがまた突如だしぬけ天井裏てんじやうゝらを走る。風はまだ吹きまない。つるしランプの火は絶えず動揺ゆらめく。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)