野武士のぶし)” の例文
しかし、その優雅ゆうがな横笛は、時にとって身を守るつるぎともなり、時には、猛獣もうじゅうのような野武士のぶしどもを自由自在にあやつるムチともなる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あい縞物しまものの尻を端折はしょって、素足すあしに下駄がけのちは、何だか鑑定がつかない。野生やせいひげだけで判断するとまさに野武士のぶしの価値はある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
野武士のぶしのポチは郎等のデカとなって、犬相が大に良くなった。其かわり以前の強味はなくなった。富国強兵兎角両立し難いものとあって、デカが柔和に即ちよわくなったのものがれぬ処であろう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
父樣とうさまさむいから、ひたした手拭てぬぐひで、ひたひこすつて、かたへまはして、ぐしや/\と背中せなかたゝきながら、胴震どうぶるひおよんで、くだん出尻でつちりすわらぬところは、落武者おちむしやが、野武士のぶしがれたうへこと難儀なんぎ
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御意ぎょいにござりまする。いまこの小娘を血祭りにするときは、ふたたびまえにもてあましたる野武士のぶしが、復讐ふくしゅうおそうてくること必定ひつじょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男は無論例の野武士のぶしである。相手は? 相手は女である。那美なみさんである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
右の腕には十、左の腕には呂宋文字るそんもじのいれずみをしているところから、野武士のぶし仲間なかまでは門兵衛を呂宋兵衛とよびならわしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)