里程りてい)” の例文
加賀の国黒壁くろかべは、金沢市の郊外一里程りていの処にあり、魔境をもっ国中こくちゅうに鳴る。けだ野田山のだやまの奥、深林幽暗の地たるに因れり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝野の差別はあたかも極楽地獄の相違あるがごとく、九天の上、九地の下、その相距あいさる千万里程りていもただならず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼の故郷伊太利イタリアのはなし、海上の里程りてい、北欧南欧の風物談、そのほか印度、安南、呂宋ルソン、南支那などの旅行ばなしを、幾夜語らせて、熱心に聴いたか知れなかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或は楽境を睥目へいもくし、或は苦界を睨視げいししたるものにして、是等大思想家の知り得たるところまでは確実なれども、なほ知り得べからざる不可覚界のひろさは、幾百万里程りていなるべきか。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
峠路に限って里程りていの遠くなるのを改修といっている。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ゐねむりをしい/\、むかし道中だうちうをしたといふ東海道とうかいだう里程りていを、大津おほつからはじめて、幾里いくり何町なんちやう五十三次ごじふさんつぎ徒歩てく饒舌しやべる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
孤驛こえきすでよるにして、里程りていいづれよりするもたうげへだてて七あまる。……かれ道中だうちう錦葉もみぢおもつた、きりふかさをおもつた、しもするどさをおもつた、むしそれよりもゆきおもつた、……外套ぐわいたうくろしづんでく。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)