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ぶをとこ
ふりがな文庫
“
醜男
(
ぶをとこ
)” の例文
恐らくあの
醜男
(
ぶをとこ
)
で不身持な爲三郎が、この娘にどんなにうるさく言ひ寄つたことか、平次にはよくわかるやうな氣がしたのです。
銭形平次捕物控:184 御時計師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まあ、そのへつぽこ役人といつたらさ
ma
(
マ
)
chère
(
シェール
)
(いとしいかた)、そりやあ
甚
(
ひど
)
い
醜男
(
ぶをとこ
)
なの! まるで
龜
(
かめのこ
)
が袋をかぶつたみたい……。
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
此家
(
ここ
)
の隣屋敷の、時は五月の初め、朝な/\学堂へ通ふ自分に、目も覚むる浅緑の
此上
(
こよ
)
なく嬉しかつた
枳殻垣
(
からたちがき
)
も、いづれ
主人
(
あるじ
)
は風流を
解
(
げ
)
せぬ
醜男
(
ぶをとこ
)
か
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
其友達と云ふのは色の眞黒な
眇視
(
やぶにらみ
)
の又とない
醜男
(
ぶをとこ
)
なので、無職同樣の記者時代には、
水轉藝者
(
みづてんげいしや
)
にまで振り飛ばされた。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私は彼がどちらかと云へば
醜男
(
ぶをとこ
)
の方であるが、しかし立派な紳士であること、また彼は私を親切に遇してくれ、私も滿足してゐるといふことなどを話した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
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このミラボーは生れつき非常な
醜男
(
ぶをとこ
)
で、肉身の
親父
(
おやぢ
)
までが、何かの拍子には
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
老いて
醜男
(
ぶをとこ
)
の道臣も、この村では第一の色師のやうに見られてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
さらに天文学の発達が、月を
疱瘡
(
あばた
)
面の
醜男
(
ぶをとこ
)
にし、天女の住む月宮殿の連想を、荒涼たる没詩情のものに化したことなども、僕等の時代の詩人が、月への
思慕
(
エロス
)
を失つたことの一理由であるかも知れない。
月の詩情
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
妻も子もない
醜男
(
ぶをとこ
)
の
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
金が欲しきア、彌助親方だ、——何だつて又選りに選つて、
醜男
(
ぶをとこ
)
で空つ尻で、取柄も意氣地もねえ丈吉などの眼玉を覗つたんだ
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうぢや、俺は美男ぢやらうが! 俺を
醜男
(
ぶをとこ
)
だなどと、
他人
(
ひと
)
はくだらぬことを言ひをる。けれど、俺はお前にとつて立派な良人になれるのぢや。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
醜男
(
ぶをとこ
)
ではあつたが、彼は、アポロ・ベルヴィディア(羅馬の法王宮殿の一室にあるアポロ)の優美さよりも、彼の「筋骨の逞しさ」の方を、彼女が選んでゐると信じてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一座の中でも、背の低い、色の黒い、有るか無きかの髭を生やした、洋服
扮裝
(
いでたち
)
の
醜男
(
ぶをとこ
)
が、四方八方に愛嬌を振舞いては、輕い駄洒落を云つて、顏に似合はぬ優しい聲でキャッ/\と笑ふ。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
醜男
(
ぶをとこ
)
8・8(夕)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
八五郎に袖を引かれて振り返ると、身體だけは立派ですが、不機嫌な
醜男
(
ぶをとこ
)
が、怒つたやうな顏をして、默つて挨拶するのです。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さういふ態度をとると、彼の姿は顏と同じやうにはつきりと見えた——
並外
(
なみはづ
)
れた胸の
幅
(
はゞ
)
は手足の長さと均整がとれないほどだつた。きつと大抵の人は彼のことを
醜男
(
ぶをとこ
)
だと思ふだらう。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一座の中でも、背の低い、色の黒い、有るか無きかの髯を生やした、洋服
扮装
(
でたち
)
の
醜男
(
ぶをとこ
)
が、四方八方に愛嬌を振舞いては、軽い駄洒落を云つて、顔に似合はぬ優しい声でキヤツ/\と笑ふ。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
念入の
醜男
(
ぶをとこ
)
のくせに、輕捷で精力的で、何となく
強
(
したゝ
)
かさを感じさせる正三郎——丹之丞の遠い從弟とりいふ、針目正三郎その人だつたのです。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
金は馬に喰はせるほど持つてゐるが、恐ろしい
癇症
(
かんしやう
)
で、
醜男
(
ぶをとこ
)
と女は大嫌ひ、螢澤に浪宅を構へて、男ばかりの世帶。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄の殿松は、
癇
(
かん
)
が強くて、念入りの
醜男
(
ぶをとこ
)
だが、弟の捨吉はそりや好い男で、面と向へば見違へる筈はないが、暗いところで、わからなかつたんですね。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
親分の勘兵衞は五十二で、
鰐口
(
わにぐち
)
に
丁髷
(
ちよんまげ
)
を
結
(
ゆ
)
はせたやうな
醜男
(
ぶをとこ
)
だが、妾のお關は二十一、
搗
(
つ
)
き立ての餅のやうに柔かくて色白で、たまらねえ愛嬌のある女だ。
銭形平次捕物控:215 妾の貞操
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎の引合せたのを見ると、二十七八の大きな若い男、成程八五郎が言つたやうに、類の少い
醜男
(
ぶをとこ
)
ですが、宮角力の大關位は取つたらしい見事な恰幅です。
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
どちらも惡い人間ではございませんが、喜八はあんな熊の子のやうな
醜男
(
ぶをとこ
)
の癖に、飛んだ道樂者で、二三日前にも隨分
強意見
(
こはいけん
)
をいたしました、——その道樂を
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
幹助は熊の子のやうに不意氣で
醜男
(
ぶをとこ
)
だから、口ではお艶を大嫌ひで仕樣がないやうに言つてゐるが
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少し智惠が足りない上に
醜男
(
ぶをとこ
)
で、お北をうるさく追ひ廻して居りましたが、今朝見るとお北お吉の寢てゐる二階の窓の下、丁度
庇
(
ひさし
)
から羽目へかけての修復で、足場を組んだ眞下に
銭形平次捕物控:180 罠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次はその側に居る、三十近いこれは頑固な身體を持つた、
醜男
(
ぶをとこ
)
に話しかけました。
銭形平次捕物控:275 五月人形
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「私も逢つたことがありませんが、小夜菊に言はせると、あんな正直な良い男は無いと言ふし、下女のお咲に言はせると、あんな
醜男
(
ぶをとこ
)
は、廣い江戸に二人とはあるまいといふことで」
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
福松は道樂者で通人ではあつたが、恐ろしく
醜男
(
ぶをとこ
)
で、お由の氣に入らなかつたらしく、お由はまたお人形のやうに綺麗ですが、福松から見ると野暮つたい泥臭い娘に過ぎなかつたのでせう。
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘のお咲の
婿
(
むこ
)
にして、加島屋の跡取にしようとしたが、これも辭退をして受けなかつたさうで、——それといふのは、喜三郎は江戸一番の心掛の良い男だが、あばたで、見る蔭もない
醜男
(
ぶをとこ
)
です。
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今度は間違ひがねえつもりだ。女の
怨
(
うら
)
みは恐ろしいな、錢形の、——
磯屋
(
いそや
)
の貫兵衞は江戸一番の
醜男
(
ぶをとこ
)
だが、あの弟分の菊次郎は、また苦み走つた飛んだ良い男さ。お蔦はあの男に捨てられたのを
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いづれ
劣
(
おと
)
らず裕福なことと、今年の春死んだといふ
操
(
みさを
)
の夫の小倉嘉門は、
醜男
(
ぶをとこ
)
でケチで、
卑下慢
(
ひげまん
)
でお節介で、町内中の鼻つまみであつたといふこと、それにも
拘
(
かゝは
)
らず、谷口金五郎と矢並行方は
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男つ振りの好い人間から見ると
醜男
(
ぶをとこ
)
の
屑
(
くづ
)
みたいに見えることでせう。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「さう言ふとあつしは、間拔けで、ぼんやりで、
醜男
(
ぶをとこ
)
見たいですが」
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「八は男つ振りが良過ぎるからだよ。岡つ引は
醜男
(
ぶをとこ
)
に限るつてね」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“醜男(
不細工
)”の解説
不細工(ぶさいく)とは、外見や人相が醜い様や劣る様を指す。元は細工(工芸品)の出来が悪いことをいった。転じて、物事一般に体裁が悪いこと、醜いこと、好ましくないことを指す。それに付け加え悪口にも含まれる。そしてその人物の内面を指して使うこともある。人物に対して呼称する場合は女性の場合は不美人(ふびじん)・醜女(ぶおんな・しこめ)やブス、男性の場合は醜男(ぶおとこ・しこお)と言う。
(出典:Wikipedia)
醜
常用漢字
中学
部首:⾣
17画
男
常用漢字
小1
部首:⽥
7画
“醜男”で始まる語句
醜男子
醜男面