遺書ゐしよ)” の例文
あをくなつて迎へた兼松に案内されて行くと、納屋の後ろの下男郎屋で、寅藏は遺書ゐしよまで殘して死んで居るのでした。
れはこゝろよめいすることが出來できると遺書ゐしよにもあつたとふではないか、れはいさぎよ此世このよおもつたので、おまへことあはせておもつたのでけつして未練みれんのこしてなかつたに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かねて用意した石見銀山の鼠捕りを饅頭まんぢゆうか何んかに入れ、親切めかしく寅藏にやり、寅藏がそれを食つて死んだのを見屆けてから、いろ/\の始末をして遺書ゐしよまでこさへたのさ
すでにそれはひとつてことなり遺書ゐしよによつてあきらかではないか、かんがなほして正氣しやうきになつて、其後そのごことはおまへこゝろまかせるからおもふまゝのるがい、御兩親ごりやうしんのあることわすれないで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「この遺書ゐしよは嘘だよ。あの病人が死ぬ二三日前に這ひ出して、平右衞門町まで行つて人を殺せるわけはない。高木勇名といふ人は、死ぬまで本當の下手人をかばつて居るのだ」
俺はあの遺書ゐしよを見た時、こいつは寅藏に手習を教へた奴の仕業だと氣が付いたよ