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越前守
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ゑちぜんのかみ
南町奉行所へ召出されし時
越前守殿出席有て
訴訟人越後高田領百姓憑司お早とは其方なるか
并に
差添の者喜兵衞甚右衞門何れも
罷出しやと
仰に一同
罷出る趣き
願あぐれば右
願書を
讀上る
享保時代。大岡
越前守が江戸の
町奉行たりし頃。七月初旬の午後。
越前守少しも
臆せず左樣に候はゞ是非に及ばず天一坊儀に
付少々御密談申上度存じ
態々推參仕つり候
御聞屆無に於ては致し方なし然れば
御暇仕つらんと
立懸るに伊豆守殿天一坊の事と
聞て何事やらんと
心懸りなれば
言葉を
科人に
陷し
既に上へ言上に及び
各々樣御判も
据り候
處外より盜賊出しかば
全く
越前守越度に付御役
御免願ひ奉つる
此段宜敷御披露下さるべしと申
述られしかば
右近將監殿大いに
驚かれ
先々輕擧給ふな
篤と
同列とも談じ
合言上に及んとて
御老中方評議の上
言上に及ばれしかば
將軍吉宗公以ての
外驚かせ
給ひ
直に大岡殿を