言草いひぐさ)” の例文
また床次君のやうに自分が偉人らしい言草いひぐさも気に喰はぬ、不肖ふせうながら朝夕南洲翁にいてゐたから、翁の面目めんもくはよく知つてゐるが
受けなかつたらかへつて神罰が有ると、弄謔からかひとは知れてゐるけれど、言草いひぐさが面白かつたから、片端かたつぱしから引受けて呷々ぐひぐひ遣付やつつけた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
恰も度胸が人間にんげん至上な能力であるかの如き言草いひぐさである。代助はこれをかせられるたんびにいやな心持がする。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
這般こんな事をいふと例の大忠臣党が直ぐ犬畜生の言草だなんぞと云ひさうだが、人間様の仰しやる事が兎角御都合主義だから無慾な犬畜生の言草いひぐさが却て道理にかなつてる。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
取止めのない男の気持や言草いひぐさが何だかふは/\してゐて、手頼たよりないやうにも思はれたが、真実ほんとうに自分を愛してくれてゐるのは、あの男より外にはないやうに思はれた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
言草いひぐさが皆の気に入つて、帽子の上からかろく二つほどくらはせて、酒の事はお流れになつた。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
この蕭白の言草いひぐさに従つたら、今の京都画家に、ほんとのかきが幾人いくたりあるかわからなくなるが、兎に角京都には絵をかく人がたんとゐる。
三四郎はぐうのなかつた。何だか文句がある様だけれども、くちて来ない。与次郎の言草いひぐさのうちで、自分がいまだ考へてゐなかつた部分丈が判然はつきりあたまうつつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
延若は仕打しうちの白井松次郎の顔を見ると、いつもかう言つたものだ。用心深い白井は、横着者の延若の言草いひぐさだけにおいそれと直ぐには承知しなかつた。
くちあごの角度がわるいとか、の長さが顔のはゞに比例しないとか、耳の位置が間違まちがつてるとか、必ず妙な非難を持つてる。それが悉く尋常な言草いひぐさでないので、仕舞には梅子も少々考へ出した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)